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JRA事業シンポジウム開催のお知らせ

JRA事業の紹介・普及(参加者募集)、農場での抗菌剤の適正使用の推進などの目的で、JRA畜産振興事業シンポジウム「農場における抗生物質などの使用ー持続可能な畜産をめざしてー」

Zoomにて開催する事になりましたのでご案内させていただきます。




 

農場における抗生物質などの使用ー持続可能な畜産をめざしてー

 日本の農場では、家畜の健康を守り、安全な畜産物を安定的・持続的に生産していくために抗生物質などが使用されています。

 人と動物と環境にやさしく、持続可能な畜産に向けて抗生物質などの使用のあり方を一緒に考えていきましょう。

主催者・開催日時

主催者:東京大学大学院農学生命科学研究科持続可能な自然再生科学研究寄付講座

    (JRA事業「電子指示書を用いた豚群衛生管理の実証試験事業」の一部)

開催日時:2022年6月17日(金) 14:00~

     Zoomでの開催となります

プログラム(*質疑応答込みの時間になります)

14:00~ 基調講演:「現代畜産と抗菌剤の使用」(東京大学 杉浦勝明)(20分*)

14:20~ 講演1:「薬剤耐性問題に対する国際機関の取り組みについて」

(OIE 釘田博文・家田菜穂子 )(20分*)

14:40~ 講演2:「飼養衛生管理支援システム(仮称)の構築について 」

(農林水産省 消費・安全局 白川崇大)(15分*)

14:55~ 講演3:「JRA畜産振興事業「電子指示書を用いた豚群衛生管理の実証試験事業」と最新の研究成果について」           (東京大学 藤本恭子)(15分*)

15:10~ 講演4:「JRA事業の実証試験に参加して」

( 香川家畜診療所 香川光生)(15分*)

15:25~ 講演5:「JRA事業の実証試験に参加して」

(タローファーム(株)小川哲生)(15分*)

15:40~ 質疑応答(全体について):(20分)


 後日動画配信申し込みについて

シンポジウム当日の録画動画を2022/6/21~2022/7/3迄、期間限定で配信することとなりました。

動画配信ご希望の方は、下記QRコードもしくはURLを読み込みの上、google formよりお申込み下さい。

申し込み締め切りました(2022/7/4)



既にお申込み済みの方は【info.sdgs.utokyo[at]gmail.com [at]は@です】より6月21日(火)、メールにてお知らせいたします。

6月21日(火)以降にお申込みの方は、お申込み後にメールに視聴方法が記載された自動配信されます。


参加申し込みについて

参加ご希望の方は、下記QRコードもしくはURLを読み込みの上、google formよりお申込み下さい。

参加申し込み締め切りました(2022/6/16 10:00)




お申込み当日中に【info.sdgs.utokyo[at]gmail.com [at]は@です】より自動配信メールを送信致しております。

メールが当日中に届かない場合、迷惑メール防止機能により事務局からのメールが迷惑メールと間違えられ、迷惑メールフォルダやゴミ箱に自動的に振り分けられている可能性がありますので、一度ご確認頂きますようお願い致します。

それでもメールが届いていない場合は、お手数ではございますが事務局までご連絡いただけますようお願い申し上げます。

 

講演要旨を掲載いたしますのでどうぞご覧ください。

シンポジウムへのご参加、心よりお待ち申し上げます。

基調講演:現代畜産と抗菌剤の使用

杉浦勝明

東京大学大学院農学生命科学研究科持続可能な自然再生科学研究寄付講座


 現代の畜産、特に企業的畜産は、遺伝的に改良された家畜に、最適の飼養技術の下で、配合飼料を給与し、薬剤などの助けも借りて、家畜の生物的能力を最大限発揮させることにより高い生産性を得てきた。しかし、このように生産性を追求したことにより、生物多様性の減少、アニマルウェルフェア水準の低下、環境負荷の増大などの問題が生じている。現代の畜産では家畜のストレスが増大し感染症への抵抗力が低下している上、病原微生物が農場に一旦侵入すると急速にまん延し甚大な被害を生じかねないことから、感染症予防のため抗菌剤への依存が高まっている。その結果、世界では約6万トンの抗菌剤が畜産分野で使われ、今後も中国、米国、ブラジル、インドなどでの集約的畜産の進展にともない、さらに増えることが予測されている。日本では毎年600~700トンの抗菌剤が家畜の感染症の治療、予防に使用されている。しかし、感染症の予防には抗菌剤以外にもバイオセキュリティ―、ワクチンなどさまざまな方法がある。耐性菌問題に対処するため、農家、獣医師は家畜の健康状態を的確に把握し、抗菌剤の不必要な使用を控えるとともに、他の予防方法の導入を促進することが求められている。本事業が目指す電子指示書システムの構築を通じて抗菌剤使用量のデータ収集、分析、生産者及び獣医師への分析結果の還元が行われることにより、抗菌剤の適切な使用に役立つことを期待している。


講演1:薬剤耐性問題に対する国際機関の取り組みについて

釘田博文・家田菜穂子

OIE

 

 WOAH(国際獣疫事務局:World Organisation for Animal Healthはその略称をOIEからWOAHに変更した)は、世界の動物衛生及び福祉の向上を図ることを使命とする国際機関であり、長年、人獣共通感染症対策を中心としてFAO(国連食糧農業機関), WHO(世界保健機関)と協力関係にある。2010年には3国際機関間でOne Healthの考え方に基づく協力取極が結ばれ、インフルエンザ、狂犬病及び薬剤耐性の3つを優先分野として連携した取組が行われてきた。その後、協力分野は、食品安全、人材育成等にも拡大され、またCOVID-19の感染拡大が野生動物からヒトへの感染を発端とする可能性が高いことを受けて、野生動物を含む衛生も重点分野となってきている。さらにOne Healthにおける環境分野の重要性についての認識が高まり、2022年3月には、UNEP(国連環境計画)を加えた4国際機関間で正式な協力関係が締結された。

 薬剤耐性(AMR)とは、抗生物質を必要以上に使用することで、細菌などの微生物に対して抗生物質が効きにくくなることを指す。AMRは、ヒトの感染症だけでなく家畜を含む動物の感染症の治療を脅かす問題であり、AMRをもつ微生物の動物-ヒト間の伝播や環境中への流出も懸念されることから、One Healthの取組の中でもっとも優先度の高い活動のひとつである。2015年5月のWHO総会において、AMRに関する世界行動計画が採択され、5つの戦略目標(①AMRに関する意識と理解の改善、②サーベイランス(※)と研究を通じた知見の強化、③感染事例の削減、④抗菌薬使用の最適化、⑤新薬、診断法、ワクチン等に対する持続的な投資)が定められた。これを踏まえた国別行動計画の策定・実施など、その実現に向けて関係国際機関は連携して取り組んでいる。

 WOAHは、動物衛生に関する国際基準(OIEコード)の中で、AMRのサーベイランス、抗菌剤使用量(AMU)のモニタリング、抗菌剤の責任ある慎重な使用に関する基準等を定めているほか、特に慎重な使用や使用の制限が求められる動物用重要抗菌剤のリストを作成、公表している。

 さらにWOAHは、世界各国における抗菌剤使用の実態に関するデータベースの構築に取り組んでおり、2016年以降これまでに6回の年次報告書を公表している。この報告書は、世界及び各地域ごとの抗菌剤使用の実態や時系列の傾向、政策効果の把握等に貴重な情報を提供している。本講演ではこれらの年次報告書に基づき、日本を含むアジア・太平洋地域でのAMRとAMUの現状を紹介する。

(※)サーベイランス:専門家による監視、また、それを可能にする制度を指す。


講演2:飼養衛生管理支援システム(仮称)の構築について

白川崇大

農林水産省 消費・安全局


 国内の畜産生産現場では、家畜の伝染性疾病が生産性向上を妨げる要因の一つとなっている。これら疾病の発生を予防するためには、飼養衛生管理の向上を図ることが重要であるものの、畜産生産現場では適正な飼養衛生管理が十分に普及しているとは言えず、また、疾病に関する科学的エビデンスに基づく指導が十分に行われておらず、生産者もリスク管理上の課題を把握する術に乏しいのが実状である。

 このような状況の改善に向けて、ICT(Information and Communication Technology)を活用して、家畜の所有者、管理獣医師、地方公共団体等の関係者間で、農場の飼養衛生管理基準の遵守状況、生産資材の使用状況等、疾病に係るリスク管理や生産資材コストの見直しに必要となる関連データを共有・活用できるシステムの構築を検討する。


講演3:JRA畜産振興事業「電子指示書を用いた豚群衛生管理の実証試験事業」と最新の研究成果について

  藤本恭子

東京大学大学院農学生命科学研究科持続可能な自然再生科学研究寄付講座

 動物用医薬品は畜産における重要な生産資材であり、特に抗菌剤はその利便性が高いことから、大量に使用される傾向があるが、電子指示書システムを構築し、動物用医薬品の使用量を把握・分析することにより、畜産物の安全性の確保や飼養衛生管理の向上などの効果が期待される。本事業では、外部の有識者による事業推進委員会の助言をいただきながら、令和2年度より3年計画で全国的かつ全畜種を対象とした電子指示書システムの構築につなげるために、養豚農家を対象にした実証試験を実施している。また、この実証試験の他に、電子指示書システムの構築の参考とするため、国内の獣医師・生産者に対するヒアリング・アンケート調査、欧米諸国・国際機関における抗菌剤使用量モニタリング等に関する調査等も実施している。本講演では、本事業の概要、実施状況及び2年間の実証試験の成果等について説明する。また、本事業の一環として行った養豚農家向けのアンケート調査より、電子指示書システムへの参加意欲に影響を及ぼす要因の特定を試みた研究について紹介する。


講演4:JRA事業の実証試験に参加して

 香川光生

香川家畜診療所


 指示書の作成が電子化することで、データの送信、報告が楽になり、時間の短縮ができた。短縮によって確保できた時間で本来、臨床獣医師がやるべき農場の衛生指導や管理指導と言った仕事に充足することができた。サーバー上にあがったデータから抗菌剤の使用状況を分析してその結果を毎月フィードバックしていただいている。戻ってきた解析結果を見てみると、抗菌剤の使用量については各農場で大きな格差があることがわかる。格差要因は以下のことが考えられる。

1. 疾病の問題

2. 飼育エリアの問題

3. 飼養規模や設備の問題

4. マネージメントやコミニュケーションの問題

5. 精神的圧力の問題

特に抗菌剤の使用量が多い農場では豚に対して個体治療よりも群治療の比率が大きい傾向がある。個体治療を実施するには管理者の観察力、集中力、そして何より時間の確保が必要とされる。養豚農場における作業は非常に細かく多彩である。農場における時間のマネージメントが抗菌剤の使用削減には大きな影響があることを考慮して今後の対策を進めていきたいと思う。


講演5:JRA事業の実証試験に参加して

小川哲生

タローファーム株式会社・代表取締役


 電子指示書の実証試験「e-shijisho」に参加し、その有用性を感じました。今後もこのシステムの活用が継続し、生産現場の効率化が進むことを望みます。

養豚場で日々使用する動物用医薬品は、管理獣医師からの指示書を必要とします。従来式の書面発行では、事務所でのやり取りが基本となり、農場現場や外出先での確認が難しい場合があります。また、過去の履歴の確認や使用量の分析などを行う場合も手間が掛かります。

こうした問題の解決策として、非常に効果的であり、また抗菌剤の適正使用、管理にも貢献するものだと感じます。

今後さらにシステムの精度が向上することを期待したいと思います。


お問合せ

東京大学大学院農学生命科学研究科持続可能な自然再生科学研究寄付講座

特任研究員 遠藤 裕子(えんどう ゆうこ)

E-Mail:info.sdgs.utokyo[at]gmail.com [at]を@に変えてください


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